第7回むつき庵はいせつケア実践報告会 報告04

「急性期病院でのおむつフィッター活動〜私の人生の素敵な変化〜」

京都第一赤十字病院 B3病棟 川上 智子さん  

|1 私がおむつフィッター研修を受けたきっかけ

看護師として勤めて数年経った頃、母との関係に悩む私にある方が「いら立ちをぶつけるばかりでなく、母にしてもらった事を思い出してごらん」とアドバイスを下さいました。それがきっかけとなり母を少しでも知ろうと、看護師である母が一生懸命に取り組むおむつフィッター研修を私も受けてみることにしました。母の話を聞くことさえ拒んでいた私でしたが研修を受けたことで、母が伝えてくれる事を知ろうとしたり、母の気持ちを考えたりする事は無かったなと自分自身を振り返ることができました。

|2 当院の紹介

当院は京都の高度急性期病院として重症患者を受け入れ、高度な救命救急医療を提供し、がん拠点病院としての役割も担い約600床の病床数があります。平均在院日数は11.3日でADLが自立している方から寝たきり方まで様々です。

|3 取り組み

当病棟は褥瘡を予防する目的で2時間毎に体位変換を行ってきましたが、夜間に熟睡している患者さんを起こす問題がありました。近年、マットの改良も進み、実験や文献において4時間以内の体位変換を検討してもよいとする記載もみられてきました。そこで当病棟では、体圧分散マットレスを使用している患者さんに対する2時間毎の体位変換を、皮膚の状態や体動を観察しながら4時間以内で試みることとしました。それに合わせ、適切なおむつの使用でできるだけ快適に過ごしていただく事、また次の体位変換までに漏れないおむつの装着を目的としおむつフィッタ―のスキルを病棟内で伝達講習いたしました。

生活支援とは、その人の生活内容がよくなることを目指します。AさんBさん共に、車いすの見直しだけでは根本的な問題の解決とまでには至らなかったでしょう。おむつの見直し、下剤コントロールの見直しまでを行い、排泄トラブルだけではなく、過度な緊張やストレスを改善することにまで至りました。問題視する現象とその原因との因果関係を考えたとき、その原因は突発的には生じません。原因を引き起こす要因が何かしらあり、要因も複合的に関係しています。その要因までを掘り下げてアセスメントし、細かく丁寧に検討していくために、視野を広く持ちトータルケアの実践にあたりたいと考えています。

|4 伝達講習においての結果

伝達講習では「日本のおむつはすごいね」「そういう理由からおむつは重ねたらいけないのね」と様々な感想があり、その後一人一人の看護師がテープやギャザーに気をつけている様子がみられました。また、当病棟は看護学生が実習にきており、未来の看護師である学生・看護師を育てる教師への伝達の必要性も感じました。現在は院内でおむつフィッター・排泄援助について知識が広がり、看護の質の向上に繋がれば、と日々活動しています。

第7回むつき庵はいせつケア実践報告会-発表者の皆様