第7回むつき庵はいせつケア実践報告会 報告05

「諦めからの発想〜小規模多機能型居宅介護はじめての取り組み〜」

大阪市 小規模多機能型居宅介護愛寿の里 溝脇 早苗さんとスタッフ一同の皆さん  

|きっかけ

平成27年7月に小規模多機能型居宅介護をオープンしました。
Aさんは、平成27年10月に前立腺肥大の為、尿道カテーテルを装着され、全介助で有料ホームに入所されました。
もともと、奥様とお二人の生活でAさんは前立腺肥大と貧血がひどく、4か月ほど入院されたが、気力もなく、老々介護の為、小規模多機能型居宅介護の訪問と通いを受けられ契約をされました。

|ステップ1

Aさんより、軟便が多くパッドを何枚も巻かれているのに漏れが気になると訴えがありました。夜間は有料ホームの職員の安否確認とおむつ交換で対応、昼間は小規模多機能で訪問サービス3回/1日×2回/週と通い2回/週のサービス内容です。
まず初めにAさんとご家族と看護師とケアマネジャーとでカンファレンスを行い排泄チェック表を作成し、水分摂取量、食事量、時間、量、形状を記録し、主治医と相談し、処方薬(酸化マグネシウム等)の見直しを行い、減薬を試みました。

|ステップ2

訪問や通いで小規模職員となじみの関係が生まれ、通いの時は車椅子から椅子に身体を移動して負担のないように座り、時間も少しずつ延長していただきました。下肢筋力が安定した為、次は安全な歩行についてカンファレンスを行い、尿道カテーテルを保管するトートバッグが必要ではないかと、Aさんと買い物同行にて購入しました。(この頃より外出希望も出始めました)
この頃より、軟便もほぼ普通便になり、Aさんも精神的にも落ち着かれました。歩行もトートバッグに蓄尿袋を入れ、肩から下げる状態で職員の手引きで歩行を行いました。

平日に日中はリハパンと小パッドで居室にはポータブルトイレ設置を行い、環境整備を行いました。通い、訪問時にトイレ誘導を行いました。Aさんもこの頃より、活動的になられ、歯科受診も積極的に希望されるようになられました。入浴も、シャワー浴でしたが、職員の勧めで湯船に入れるようになり、尿道カテーテルがある以上湯船に入ることは不可能だと思っていたのでうれしい、と言われました。

ご家族からも、顔つきが見違えるように明るくなり、若くなったと言われていました。
歩行も、ほぼ自立歩行で安定されて、トイレもご自分で行かれ排泄チェック表もご自分で記入されるようになりました。夜間帯もリハパンに変更されています。

|結果

トイレが自立になることにより、洋服や靴の選択、今まで置き去りにしていたご自分のメンテナンスや環境整備についても、ご自分で考慮され顔つきが日々変わってこられたことに、職員は新しい刺激を受け、ケアについて取り組まなくてはならないと実感しました。

第7回むつき庵はいせつケア実践報告会-発表者の皆様