「第15回むつき庵はいせつケア実践報告会」大勢の方にご参加いただき開催しました

「第15回むつき庵はいせつケア実践報告会」大勢の方にご参加いただき開催しました

10月25日にラボール京都2階ホールにて、「第15回むつき庵はいせつケア実践報告会」を開催しました。当日の参加者は講演・報告者スタッフも含めまして総勢112名の方々がお越しくださいました。                                                                                                                                                   

第15回むつき庵はいせつケア大賞には「その人らしさを尊重した排泄ケアを目指して―多職種と協働した事例―」と題して発表された市立豊中病院看護部 深田亜祐美さんが受賞されました。その人らしさを尊重した排泄ケア、これは言うのは簡単ですが行うのは簡単ではありません。患者のことばに耳を傾け排泄に対する苦痛を軽減するために、薬剤師・管理栄養士・理学療法士とも連携を図り、患者の望む排泄を実現されました。床上排泄に対する羞恥心、おむつ等による蒸れにも気づき医師とも相談し苦痛を軽減していきました。排泄ケアは個別性の高いケアであり、その人らしさを実現するには個別性に応じたニーズが必要です。それを見事に実現されたことに対して最も高い評価が贈られました。第15回むつき庵はいせつケア特別賞には「はいせつの自立によりがん終末期のQOLが改善した症例」と題して発表されたみやぎ県南中核病院 佐藤静恵さんが受賞されました。がん終末期においてストーマケアの自立を得たことにより、男性の行動が広がり趣味を楽しみ家族とともに過ごすなど生活が豊かになっていかれたことに感銘を受けます。この自立に至るには多職種での連携による適切な支援が根底にあり、また本人の意思や希望が大切にされたのであろうことを感じます。残された時のなかでその人の持つ力が見出され支えられていくこと、その真摯なケアが評価されました。さらに特別功労賞を「息子と私とむつき庵」と題して発表された有限会社悠豊ミニむつき庵神戸ゆうほう 堺谷珠乃さんが受賞されました。息子さんの脊髄損傷をきっかけにむつき庵に出会い、長い時間をともに過ごしてくださいました。人の身体は生身ですから事故や病気などで損ないますしいつかは土に還ります。そんな限られた時間のなかで一緒にイベントを作り汗をかき笑いあってきたこの年月は私たちにとってもかけがえのないものです。これからもともに豊かな時間を築いていきたく願いを込めてこの賞を贈りました。

発表された7組のいずれの実践報告も素晴らしく、回を重ねるごとに発表される内容のレベルが向上していますことをあらためて実感するものです。社員を対象にした排泄ケアの研修を継続し施設を回って介助を目視確認し介助方法を伝える、人材の育成と仲間づくりは働くうえでも大切なこと。高齢女性患者からの疼痛や掻痒感への訴えに対し患者に真摯に向き合い多職種と連携して多方面からアプローチを重ねられ心身の安寧をもたらす取り組み。独りでの暮らしに笑顔と安心感をもたらし、さまざまな職種との連携を図り独りでお住いの方々が地域のなかで孤立することのないよう暮らしを丁寧に見守り支える取り組み。認知症を抱えるAさんに適切な介護を提供することが難しいなか、この状況がなぜ生じているのか、排泄や生活の情報を集め原因を探りコミュニケーションの方法を工夫されチーム全体でより良い関わりを築いていかれた実践。どれも聴きごたえのあるもので、会場からは、「年々発表が深く、素晴らしいものになっている」という感想を多数いただきました。各賞については、別紙資料をご参照いただきますよう、お願い申し上げます。

 講演は「長寿期リスク―増え続ける長寿期在宅高齢者の暮らしを誰がどう支えるのか?」と題して元松山大学大学院人文学部教授・「高齢社会をよくする女性の会・広島」代表の春日キスヨ氏にお話しいただきました。長寿期の「ひとり暮らし問題」は深刻(特に低年金の人にとって)しかし、80歳を超えると夫婦暮らしのリスクも高まり新たな生活問題が誕生。世話が必要になる時のことを考え、備えていない高齢者が多い。子世代側の変化として親に対するケア責任義務規範の希薄化・曖昧化が進んでいる。長寿期には伴走し・代行・代弁役を担い・関係調整し世話を担う人=「キーパーソン」が必要!!豊富なデータと聞き取り調査を踏まえて具体的にお話しいただきました。                                                                                       

おむつフィッター倶楽部は2014年に設立されてこれまで会員登録800人を超え(年会費更新者391名)、バリアフリー展や実践報告会などむつき庵の活動を支えています。おむつフィッター倶楽部の活動を楽しいスライドにまとめて報告しました。

市川晋一先生が来賓として秋田からお越し下さり実践報告されたお一人お一人に丁寧なコメントをいただくとともに、参加された皆様に来賓としてご挨拶をいただきました。「へき地で取り組んでいる最先端の医療-医療マース」についてご紹介いただきました。

このように、充実した集いの場を設けることができましたのは、企業・団体様はじめ多くの皆様からの温かいご支援の賜物です。心から御礼を申し上げます。

第16回むつき庵はいせつケア実践報告会は2026年10月頃京都での開催を予定しています。

 

第15回むつき庵はいせつケア各賞

 

第15回むつき庵はいせつケア大賞

その人らしさを尊重した排泄ケアを目指して―多職種と協働した事例―

市立豊中病院 看護部 深田 亜祐美 さん

 

第15回むつき庵はいせつケア特別賞

はいせつの自立によりがん終末期のQOLが改善した症例

みやぎ県南中核病院 佐藤 静恵 さん

 

第15回むつき庵との伴走功労賞

「息子と私とむつき庵」

有限会社悠豊 ミニむつき庵神戸ゆうほう 堺谷 珠乃 さん

 

第15回むつき庵はいせつケア 研修の継続と丁寧な指導が素晴らしいで賞

従業員800人規模での初期研修の実施と継続した取り組み

~はいせつケアの周知の難しさと意識統一~

株式会社ライフケア・ビジョン 事業統括本部 グループ長 中本 佳寿 さん

 

第15回むつき庵はいせつケア 個別支援を実現する 多職種連携優秀賞

「患者の個別性ニーズにおけるチームアプローチにより掻痒感が緩和された1例」

藤田医科大学病院 介護福祉士 堤 由衣 さん

 

第15回むつき庵はいせつケア 独り暮らしを豊かに 支援実践奨励賞

パンツ型紙おむつを使い始めた独居高齢者への排泄ケアの取り組み

井戸 久代 さん

 

第15回むつき庵はいせつケア その人にとってのケアを考える 実践優秀賞

「排泄ケアの改善と認知症ケアの取り組み」

SOMPOケア株式会社 若井 伸江 さん