むつき庵に展示しています排泄用具、福祉用具の紹介

むつき庵は、排泄用具の情報館ですから、おむつだけでなく、さまざまな排泄用具を展示しています。さらにいろいろな福祉用具も併せて展示しています。
おむつフィッター3級研修では、実習の一つとしてむつき庵の見学を入れていましたが、現在、むつき庵から離れた会場のため、見学の実習ができなくなりました。
そして今、コロナ禍では、自由に見学をしていただくことが難しい状況でもあります。
そこで、復習も兼ねて、むつき庵に展示しています排泄用具、福祉用具を、むつき庵Facebook、ホームページ内にて、むつき庵スタッフが紹介をしていこうと思います。
ではまず、平田からスタートいたします。

自動採尿器 スカットクリーン

皆さん、スカットクリーン(写真上)をご存じですか? パラマウントベッド㈱から1980年に発売され、機能、デザインがリニューアルされながら、現在に至っています。誰もが知っていると思っていましたが、3級研修の折に受講者にお聞きすると案外、知られていないことがわかりました。
ご存知の方は復習のつもりでお読みください。
構造はいたってシンプル。尿意を感じたら、レシーバー(写真①男性用レシーバー、写真②女性用レシーバー)を尿道口に当てて、排尿するとセンターが感知し、モーターが作動して自動的に尿を吸引し、ホースを伝って本体内部にある尿タンク(写真③)に溜まる仕組みです。この尿タンクは、3リットル溜まりますので、多尿の方でも対応できます。尿タンクの尿を捨てるのは、排尿量にもよりますが、概ね1日1回程度で済みます。
どういう方に向いているかと言えば、「トイレが遠くて移動することがたいへん」「トイレまで間に合わない」「夜中にトイレまで行きたくない」「トイレまでは行けるけれど、便座に座り直すのが難しい」等々。また、おむつが皮膚に合わない方にも向いていると思います。
何より、寝たままの姿勢、座った姿勢、男性の場合は立った姿勢等々、身体状況や介護状態に合わせた使い方ができるのが優れモノだと思います。
自然落下型の尿器と似ていますが、自然落下型尿器は高低差がないとうまく使うことができませんが、スカットクリーンは電動で吸引しますので布団でも使うことができ、レシーバーを適切に当てることで上手に採尿できます。
脱臭フィルターもついているので、尿臭が軽減できるのがうれしいですね。
尿意を感じたら、と申しましたが、尿意を把握しにくい方でも、排泄日誌をつけることで、大体の排尿パターンがわかりますから、その時間帯にレシーバーを当てて排尿することもできます。寝る時だけ装着したままも可能ですが、寝返りのことなどを考えると、排尿パターンを把握して当てるのがよいのではないでしょうか。
介護保険では、本体が貸与で、レシーバー(男性用、女性用)と中の尿タンクは特定福祉用具の購入対象になっています。
一度使ってうまくいかなかったとき、もう、これはダメ! と決めつけず、どこがどううまく使えなかったのかをよく検証し、そのうえで何回か使って練習することも大切です。ただ、尿を吸引する際、ホースを伝わる音が、静かな夜間などは特に気になる、とも言われています。これも人それぞれだと思いますが。
さて、忘れてはならないのが、下着や衣服の工夫です。前が大きく開く排泄アウター(例えば、ニシキのオープンスタイル)やズボンなどでしたら、もっと楽にレシーバーを当てることができます。
その方が楽に安心して排泄できることが大切ですから、下着、衣服、用具、環境、さまざまな視点を総合して選択することが重要だと思います。

2021年2月1日  むつき庵 平田